アーユルヴェーダでトリートメントとともに有名なのが体質診断ではないでしょうか。
前のテーマでも紹介したように、私たちの体質は、季節ごとだけでなく、生活環境によっても変化します。
さらに1日のうちでも変化するため、私のサロンでは体質診断をしていません。その代わり、お客様とのお話の中で、最近気になることなどをヒアリングして、そこのバランスを整えるようなお話をさせていただいています。
しかしこれも、どんな状態がどの体質かが分かっていないと、バランスをとることも出来ないので、今回はタイプ別の体質を見ていきます。
アーユルヴェーダ診断の方法
まずは押さえたい、先天性「プラクリティ」と後天性「ヴィクリティ」
アーユルヴェーダではプラクリティとヴィクリティという考え方があります。
- プラクリティ(先天性)・・・受精した時に決まり、一生変わらない
- ヴィクリティ(後天性)・・・後天的に環境の体質影響を受けて変わっていく体質バランス
以上のように、体質は持って生まれたエネルギーバランスと、後天的に影響を受けるエネルギーバランスがあります。
そして、一番多く持っているドーシャ(ワータ、ピッタ、カパ)が、そのエネルギーの影響を一番受けやすいとも言えます。
7つの体質的特徴を、プラクリティとヴィクリティに当てはめてみよう!
次に紹介している体質の特徴において、
- 幼い時の特徴
- 今現在の状態
でどれが当てはまるか選択してください。2つ当てはまる時は2つ選択して大丈夫です。
1番で多かったドーシャ(=プラクリティ)と2番で多かったドーシャ(=ヴィクリティ)で異なっていれば、2番で増えているドーシャが増大しているということなので、減少させるようにします。
ドーシャは一つのタイプだけを持っているのではないため、以下の7つのタイプに分けることができます。
1. ワータ体質
2. ピッタ体質
3. カパ体質
これら3つは一つのドーシャが著しく高いタイプです。
4. ワータピッタ体質
5. ワータカパ体質
6. ピッタカパ体質
これら3つは二つのドーシャが高いタイプです。より高い方を先に言います。
7. トリドーシャ
これはすべてのドーシャが同じくらい高いタイプです。
それでは、ドーシャ別の体質の特徴をみていきましょう。
ドーシャ別でわかる体質の特徴診断
〈身体活動〉
ワータ
- 風のようによく動き好奇心旺盛で積極的に活動出来るが体力がない
- よく話をするので比較的すぐに誰とでも親しくなれる
ピッタ
- 無駄な動きが少ない
- 体力があるのでよく動けるが、体が熱くなったり汗をかくと動けなくなる
カパ
- 体力はあるが動くのが億劫
〈精神活動〉
ワータ
- せっかちな印象
- あまり深く考えずに決めるため物事はすぐに決められるが、そのため気持ちが変わりやすい
- あれもこれもしたくなる
- 怒りやすいが時間が経つと怒りが無くなる
ピッタ
- 賢くリーダータイプ
- 決めるのは割と早いが、よく考えているのであまり気は変わらない。また、自分にとってチャンスと感じるものだと決断が早い
- 理解が早く忘れにくい
- イライラして怒りやすい
カパ
- ゆっくり安定している印象
- 決めるのに時間がかかるが、一度決めたらその通り
- 気持ちが安定しているので滅多に怒らないが、一度怒ったら忘れない
- 理解するのに時間がかかるが、記憶力は良い
〈食欲、消化〉
ワータ
- 朝は食欲がなく沢山は食べられないので、食事は不規則になりがち。こまめに食べたりも
ピッタ
- 消化力が高いのでいつでも食べられる。お腹が空くとイライラしたり手が震える
カパ
- 消化力はあるけど時間がかかるので、食事をしてから5、6時間後にお腹が空く
- 甘いもの大好き
〈睡眠〉
ワータ
- なかなか眠れず眠りが浅い。疲れたら眠れるがすぐに起きてしまう
ピッタ
- 気温など心地が良ければよく眠れる
カパ
- いつでもどこでも長く眠れる。寝るのが好き
〈夢〉
ワータ
- 夢をよく見るが覚えているのはところどころ
ピッタ
- 時々見る
- 人が出てくる夢が多く、ストーリーを覚えている
カパ
- たまに見て覚えている
- 幸せな夢が多い
〈季節と気温〉
ワータ
- 冷たい性質を持っているためあたたかい季節が好き
ピッタ
- 涼しい季節が好き。暑すぎる汗が出てイライラしやすい
カパ
- どちらも平気だけど、あたたかい方が体に合う
〈体型と体重〉
ワータ
- 細くて体重が軽いがお腹が太りやすい
ピッタ
- 中肉中背
- 体重も普通で身長に合っている体重
カパ
- ふくよか
- 体重は重めで太りやすい。食生活が乱れるとすぐに太って痩せにくい。
- 顔、お尻、脚、お腹が太りやすい
〈皮膚〉
ワータ
- 乾燥による問題が多いが、乾燥があったり油性の箇所もえある
- 循環が良くないので、手足が冷たくなりがち
ピッタ
- 赤っぽい肌をしていて太陽に弱くすぐに日焼けをしてしまう
- 循環が良いので手足はあたたかい
カパ
- オイリー肌でピカピカしている
- ふっくらぷっくり色白で滑らかな肌
〈髪の毛〉
ワータ
- 量は少なくパサパサしていて細くて癖っ毛なことが多い。髪色は薄い
ピッタ
- 量は普通でストレートが多く髪色は赤っぽい。抜け毛が多く白髪が生えやすい
カパ
- 量が多く太くて丈夫。髪色は黒くしっとりしている
〈歯〉
ワータ
- 小さい歯で形や歯並びが不規則。歯茎は痩せているので歯磨きで血が出やすい
ピッタ
- 大きさや歯並びは普通。犬歯が出ていたり形はシャープ
カパ
- 歯並びは良く大きくて白い。歯茎も規則的で丈夫
どれが当てはまるか確認できましたでしょうか。
ここでおおよそのプラクリティが分かると、バランスを取りやすくなります。
アーユルヴェーダ診断のケーススタディ
分かりやすいように私の例を挙げます。
私のプラクリティは体の見た目はワータですが精神活動など中身はカパです。
思春期は見た目もカパになり、その時代はアクティブに動くことが苦手でした。しかし、カパは体力があり安定している要素があるので、動けば体力があるし一度決めたことは続けることは出来ました。
さらに、20代で出会ったアーユルヴェーダの知恵からカパを減少させるには動くことだと気付いたので、運動をして食事の摂りかたも改善されたので、カパの重たさが無くなってアクティブに過ごせる事が多くなり、仕事終わりに海外旅行へ行き帰国して翌日から仕事という事も出来ていました。
時差もあって疲れるのに今思うとよく仕事に行けていたと感じます。
しかし30代を迎えるとワータが増加する時期にもなるため、疲れやすさが出てきました。私の周りの方に聞いても30代で体の変化を感じたという話をよく聞きます。
今までと同じように旅行などで移動が続いたり、睡眠不足が続くとすぐに気持ちが悪くなって、体がSOSを出すようになりました。
この症状が出た当初は、その時の体調が悪かっただけと思っていましたが、さすがに何度も続くとなんでだろうと考えるようになり、今までカパが優勢で体力があったのが、年齢とともにワータに変化して体力が以前よりも無くなったのだと考えました。
現在は、旅行後は無理しない、睡眠や休息はなるべく取るということでバランスを取るように心がけています。
また、何か結論を出す時や仕事をする際に、カパ傾向の私は物事を考え過ぎてしまい作業が進まなかったり、時間がかかってしまう事が多くそれが気になる時期がありました。
周りにさまざまなアイディアをくれるワータタイプや、理解や決断力に優れるリーダー的なピッタタイプがいると、考えすぎてしまいがちな部分をフォローしてくれたり、決断をフォローしてくれたりと、すごくやりやすい環境だと感じた事がありました。
一人ひとり違うのが当たり前ですので、どういった事が自分の優れている部分なのか把握できた事で徐々に気にならなくなってきました。
紹介した例はあくまで私個人の経験なので、みなさまにも当てはまるわけではありませんが、この例が生活を振り返るヒントとなれば幸いです。
体質別!ケアに使いたい、薬草オイル
体質別に、薬草オイルもその時のお身体の状態に合わせて使用することが出来ます。比較的、ネットで手に入りやすい代表的な薬草オイルをご紹介します。
ナーラーヤナタイラ
体に栄養を与え、乾燥を改善させるためワータの鎮静に効果的
トリパラータイラ
むくみやセルライトが気になる時の使用に向いていて、ピッタとカパの鎮静に効果的
シッダールタタイラ
体を温めるので、ワータとカパ体質の人に効果的
ブルンガーマラカタイラ
白髪や抜け毛が気になる方に
ご紹介したオイルはネットでも購入しやすいオイルですので、香りやオイルの感触を楽しみながら使っていただくのが良いと思います。
薬草が使われているため、アレルギーを起こすことがありますので、ご使用前は必ずパッチテストを行ってください。
オイルは湯せんして温めると、抜群に気持ちが良いです。
まとめ
ここまで、英国アーユルヴェーダカレッジとスリランカでの学びを基に私が経験したことをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。以前よりもアーユルヴェーダが身近なものに感じられるようになったでしょうか?
最初に述べたように、アーユルヴェーダは学びが多く複雑ではありますが、3つのドーシャとそれらの性質、そして今回のテーマで紹介した体質の特徴を頭の片隅に置いておくと、連想ゲームのような感じで自分の体の状態を感じることが出来るようになり、シンプルに感じられると思います。
そして、今体がどんな状態なのか考えるクセがとついてくるでしょう。体調を整えるにはまずはご自身の体の声を聞くことがとても大切です。
アーユルヴェーダでは健康な人の健康を守ることも大事な教えです。
昔に比べて平均寿命が伸びている今、健康で楽しく気持ちも豊かに過ごしていけるように是非アーユルヴェーダの知恵を生活に取り入れてみてください。
この記事を書いた人
英国アーユルヴェーダカレッジ日本付属校プロコース卒業後に同校にて体質改善セラピスト及び実技アシスタントとして勤務。退職後、スリランカにてHabarana Wedegedara Ayurveda Institute(スリランカ政府公認)を取得。2014年、茨城県にてSattverma をオープン。