子連れ再婚の手続きは、婚姻届を出せば終わり、というわけではありません。子連れ再婚の手続きは「入籍前に養子縁組と子どもの名字の方針を決める→婚姻届→養子縁組届か子の氏の変更→住民票・健康保険・手当の届出(多くは14日以内)」の順に進めると、抜けや二度手間が少なくなります。
婚姻届を出しても、子どもの戸籍・名字・再婚相手との親子関係は自動では変わりません。ここが子連れ再婚ならではの、いちばん迷いやすいところです。
この記事では、婚姻届・養子縁組届・子の氏の変更・戸籍・住民票・健康保険・児童扶養手当・養育費・学校の手続きを、順番と期限つきで一覧にしました。2026年4月から始まった共同親権の影響も、法務省と裁判所の案内をもとに整理しています。
内容は2026年10月時点の法令・公的機関の案内によるもので、窓口や持ち物の細かな点は市区町村によって違うことがあります。
子連れ再婚の手続きは何がある?最初に全体像を確認

子連れ再婚の手続きは、大きく「戸籍」「住まいと保険」「お金」「子どもの生活」の4つに分かれます。先に全体を見ておくと、どこで迷いそうかがわかります。
戸籍の手続きは婚姻届と子どもの届出の2段階
子連れ再婚では、夫婦の婚姻届と、子どもの戸籍・名字のための届出(養子縁組届か、子の氏の変更許可のあとの入籍届)を別々に考える必要があります。
民法では、子どもの名字は生まれたときに決まり、親が再婚して名字が変わっても子どもの名字は変わりません(民法790条・791条)。養子縁組も、届け出てはじめて効力が生じます。
住まい・保険・お金・学校の届出
戸籍のほかに、住民票、健康保険、児童扶養手当や児童手当、養育費、学校への連絡が必要になることが多くあります。
どれが必要かは、引っ越しの有無、勤務先の健康保険、受け取っている手当、離婚か死別かで変わります。この記事の最後に、家庭ごとに印をつけて使えるチェックリストをまとめています。
子連れ再婚の手続きの順番は?入籍前から1か月後までの流れ

手続きの順番は、入籍前に決めること、入籍日に出すもの、入籍後2週間以内に済ませたいもの、の3段階で考えるとわかりやすくなります。
入籍前に決めておきたい3つの方針
入籍前に、養子縁組をするか、子どもの名字をどうするか、夫婦がどちらの名字を名乗るかを決めておくと、届出の順番が決まります。
あわせて、子どもの親権が単独か共同か、養育費の取り決めがあるか、受け取っている手当は何かも確認しておきたい点です。共同親権の場合は、養子縁組や名字の変更で元配偶者の関わりが必要になるため、時間に余裕をもって準備するのがおすすめです。
入籍日から2週間以内の流れ
婚姻届のあと、養子縁組届か子の氏の変更の手続きを進め、住民票・健康保険・手当の届出を2週間以内に済ませるのが目安です。
| 時期 | 主な手続き | 窓口 |
|---|---|---|
| 入籍前 | 方針決め・親権と養育費の確認 | 家族で話し合い |
| 入籍日 | 婚姻届(養子縁組届) | 市区町村役場 |
| 5日以内 | 健康保険の扶養の追加 | 勤務先 |
| 14日以内 | 住民票・国保・マイナンバーカード | 市区町村役場 |
| すぐに | 児童扶養手当の資格喪失届など | 市区町村役場 |
| 1か月前後 | 学校・銀行・養育費の連絡 | 学校・各機関 |
期限の根拠は、このあとの各節で紹介します。子の氏の変更は家庭裁判所の許可を待つため、入籍から少し遅れて進むのが一般的な流れです。
子連れ再婚の婚姻届はどう出す?

婚姻届そのものは初婚と同じですが、どちらの名字を名乗るかで、子どもの戸籍との関係が変わります。
婚姻届の届出先と証人
婚姻届は、夫婦の本籍地か、届け出る人の所在地(住所地など)の市区町村に出せます(戸籍法25条)。
民法では、婚姻届は夫婦と成年の証人2人以上の署名が必要です(民法739条)。法務省によると、2024年3月1日から本籍地ではない市区町村に届け出る場合も、戸籍証明書の添付が原則として不要になりました。窓口で求められる本人確認書類は、届け出る市区町村で確認しておくと安心です。
夫婦の名字と戸籍の関係
婚姻届を出すと夫婦の新しい戸籍ができますが、名乗る名字の側がすでに戸籍の筆頭者なら、もう一人がその戸籍に入ります(戸籍法16条)。
たとえば、離婚後に自分が筆頭者の戸籍をつくり子どもと一緒に入っている母親が、自分の名字を夫婦の名字にした場合は、再婚相手がその戸籍に入ります。この場合、子どもは親と同じ戸籍・同じ名字のままです。反対に、再婚相手の名字を名乗る場合は、親だけが戸籍を移り、子どもは元の戸籍に残ります。
子連れ再婚で養子縁組はする?しない?違いを比較

子連れ再婚で迷う方が多いのが、養子縁組です。どちらが正しいということはなく、家族の事情で選べます。
養子縁組をする場合としない場合の違い
再婚相手と子どもが法律上の親子になるには養子縁組が必要で、結婚しただけでは親子にはなりません。
| 項目 | 養子縁組する | 養子縁組しない |
|---|---|---|
| 再婚相手との親子関係 | 縁組の日から親子 | なし |
| 名字・戸籍 | 養親の名字・戸籍へ | そのまま(変更は別手続き) |
| 相続 | 再婚相手の相続人になる | 相続人にならない |
| 親権 | 再婚相手と実の親 | 今の親権者のまま |
| 健康保険の扶養 | 子として同居不要 | 同居が条件 |
民法では、養子は縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得し、養親の名字を名乗ります(民法809条・810条)。健康保険の扶養は、日本年金機構の認定基準で、子は同居していなくても対象になる一方、それ以外の3親等内の親族は同居が条件とされています。
2026年4月からの親権のルール
法務省の案内では、連れ子養子をすると再婚相手と実の親の2人が親権者になり、離婚後に共同親権を定めていても、もう一方の実の親は親権者でなくなります。
改正民法は2026年4月1日に施行されました。共同親権の15歳未満の子が養子縁組をするときは、父母が共同で縁組を承諾する(代諾する)と法務省のQ&Aにあります。父母の意見が合わないときに家庭裁判所が調整する手続きも新しくできました。
養子縁組をしない家庭もある
養子縁組をしなくても家族として暮らすことはでき、子どもの年齢や実の親との関係を考えて、あえて縁組をしない家庭もあります。
縁組をすると、扶養や相続の関係が生まれます。民法では当事者の話し合いで離縁もできますが(民法811条)、子どもへの影響を考えると、縁組は家族でよく話し合ってから決めたい手続きです。迷う場合は、まず子どもの名字だけを変えて様子を見るという選び方もあります。
子連れ再婚で養子縁組の手続きはどう進める?

養子縁組届は、婚姻届と同じく市区町村役場に出します。連れ子の場合は家庭裁判所の許可が要らないため、手続きは比較的シンプルです。
家庭裁判所の許可が要らない連れ子養子
未成年の子を養子にするには原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、配偶者の子(連れ子)を養子にする場合は許可が要りません(民法798条)。
法務省の案内でも、配偶者の子や孫であれば家庭裁判所の許可は不要とされています。許可が要らないのは配偶者の子だからなので、婚姻届を出して夫婦になってから縁組をする流れになります。同じ日に続けて出せるかは、届け出る窓口で確認しておくと確実です。
養子縁組届に必要な署名と承諾
養子縁組届には、縁組をする人の署名と、成年の証人2人以上の署名が必要です(民法799条で739条を準用)。
子どもが15歳未満なら、法定代理人(親権者)が子どもに代わって縁組を承諾します(民法797条)。15歳以上なら子ども本人が届け出ます。共同親権の場合は、前の節のとおり父母が共同で承諾します。
実の親も一緒に縁組が必要なケース
配偶者の子が嫡出子(婚姻中に生まれた子)なら再婚相手だけで縁組できますが、そうでない場合は実の親も一緒に縁組をします(民法795条)。
結婚していない間に生まれた子などが当てはまります。自分の子がどちらに当たるかは、戸籍を見れば確認できます。不安なときは、届け出る市区町村の戸籍の窓口で相談するのがおすすめです。
子連れ再婚で養子縁組しないと戸籍と名字はどうなる?

「子連れ再婚 養子縁組しない 戸籍」と調べる方が多いのは、ここがわかりにくいからだと思います。縁組をしない場合、子どもの戸籍と名字は、何も届け出なければ今のままです。
何もしなければ子どもは元の戸籍と名字のまま
養子縁組をせず、名字の変更もしない場合、子どもは今の戸籍に残り、名字も変わりません。
親が再婚相手の名字を名乗って戸籍を移ると、親子で名字と戸籍が分かれます。戸籍法では、父母の名字を名乗る子は父母の戸籍に、父または母の名字を名乗る子はその親の戸籍に入るとされています(戸籍法18条)。
親と同じ名字にする子の氏の変更許可と入籍届
養子縁組をせずに子どもを親と同じ名字・同じ戸籍にするには、家庭裁判所で子の氏の変更許可を受け、そのあと市区町村に入籍届を出します(民法791条・戸籍法98条)。
裁判所の案内では、申立先は子どもの住所地の家庭裁判所で、費用は子ども1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。15歳未満は法定代理人が代わりに申し立て、共同親権の場合は原則として父母が連名で申し立てます。
民法では、名字を変えた未成年の子は、成年になってから1年以内に届け出れば元の名字に戻れます(民法791条4項)。子ども自身が将来選び直せる仕組みがあることも、話し合いの材料になります。
名字を変えないという選択
子どもの名字を変えないまま、親子で名字が違う状態で暮らすこともできます。
進学や卒業の区切りまで名字を変えずに過ごす家庭もあります。学校での呼ばれ方は子どもの気持ちに直結するため、子どもに聞いてから決めるのがおすすめです。
子連れ再婚で住民票・健康保険の手続きは?

住まいと健康保険の届出は、期限が短いものが多い手続きです。入籍日を決めたら、届出の日もあわせて予定に入れておくと安心です。
住民票は引っ越しから14日以内
引っ越しをしたら、転入届または転居届を14日以内に出します(住民基本台帳法22条・23条)。
引っ越しをせず、再婚相手と同じ世帯になるなど世帯主や世帯に変更がある場合も、14日以内に世帯変更の届出が必要です(同25条)。杉並区の案内のように、婚姻などで住所・氏名が変わったら14日以内にマイナンバーカードの記載の変更を求める自治体があります。
健康保険の扶養は5日以内に勤務先へ
再婚相手の会社の健康保険で家族を扶養に入れる場合、日本年金機構の案内では、事実が発生してから5日以内に勤務先を通じて被扶養者(異動)届を出します。
健康保険組合に加入している場合は、勤務先に手続きを確認します。夫婦ともに収入がある場合、子どもは年間収入の多い方の被扶養者として認定されるのが原則です。
国民健康保険をやめるのは14日以内
国民健康保険に入っていた親子が会社の健康保険の扶養に入るときは、14日以内に市区町村へ国民健康保険の資格喪失の届出をします(国民健康保険法施行規則13条)。
届出を忘れると、保険料の請求が続くことがあります。新しい健康保険の資格を確認できる書類が届いたら、早めに窓口へ行くとスムーズです。
子連れ再婚で手当・年金・養育費の手続きは?

お金の手続きは、届出が遅れると返還になるものもあります。再婚前に受け取っていたものを一度書き出しておくと、漏れを防げます。
児童扶養手当は資格喪失届をすぐに
児童扶養手当は、母や父が再婚して配偶者に養育されるようになると支給されなくなり、この配偶者には事実婚の相手も含まれます(児童扶養手当法4条)。
西宮市の案内では、届出をしないまま受給していた場合、資格のない期間に受け取った手当を全額一括で返すことになるとされています。入籍した日、または一緒に暮らし始めた日が近づいたら、市区町村の窓口で資格喪失届の時期を確認しておくのがおすすめです。
児童手当は配偶者ができたら届出
こども家庭庁の案内では、一緒に児童を養育する配偶者を有するに至ったときは、市区町村への届出が必要とされています。
名字や住所が変わったときも届出の対象です。公務員は勤務先から児童手当が支給されるため、市区町村と勤務先の両方への届出が必要になる場合があります。ひとり親家庭向けの医療費助成など自治体独自の制度を使っている場合も、再婚後に対象かどうかを市区町村で確認しておくと安心です。
死別の場合は遺族年金の失権届
遺族年金を受け取っている人が結婚すると、事実婚を含めて受給権がなくなり、遺族基礎年金は14日以内、遺族厚生年金は10日以内に失権届を出します(日本年金機構)。
子どもが受け取っている遺族年金の扱いは、子どもが誰の養子になるかなどで変わることがあるため、年金事務所で確認するのが確実です。
養育費は自動では止まらない
再婚や養子縁組をしても養育費の取り決めが自動的になくなるわけではなく、変更するには話し合いか家庭裁判所の調停・審判が必要です。
裁判所の案内では、一度決まった養育費も、再婚などの事情の変化があれば額の変更を求める調停・審判を申し立てられます。再婚することを元配偶者にいつどう伝えるかも、あらかじめ考えておくと落ち着いて対応できます。
子連れ再婚で学校や身の回りの手続きは?

子どもの生活に関わる手続きは、法律で期限が決まっていないものが多い分、後回しになりがちです。子どもの気持ちを聞きながら進めたいところです。
学校・保育園への連絡
学校や保育園には、名字・住所・保護者・緊急連絡先が変わったことを伝えます。
名字の変更をどの時期から学校で使うか、転校が必要かなどは、学校や教育委員会に相談すると決めやすくなります。進級や学期の区切りに合わせる家庭もあります。
銀行口座・パスポートなどの名義
子どもの名字が変わった場合は、子ども名義の預金口座やパスポートなど、名前が載っているものの変更も必要になります。
親自身の名字が変わった場合も同じです。勤務先・銀行・携帯電話・保険など、名前を登録しているものを一覧にしておくと抜けを防げます。
子連れ再婚の手続き一覧チェックリスト

最後に、ここまでの手続きを一覧にしました。自分の家庭に当てはまるものに印をつけて使ってみてください。
入籍前のチェックリスト
入籍前は、方針決めと情報の確認が中心です。
- 子どもの気持ちを聞いた(名字・呼び方・一緒に暮らすこと)
- 夫婦がどちらの名字を名乗るか決めた
- 養子縁組をするかしないか決めた
- 親権が単独か共同かを確認した
- 養育費の取り決めの内容を確認した
- 受け取っている手当・助成を書き出した
- 再婚相手の勤務先の健康保険を確認した
入籍後のチェックリスト
入籍後は、期限の短いものから順に進めます。
- 婚姻届(本籍地か所在地の市区町村、証人2人)
- 養子縁組届(する場合。証人2人、15歳未満は親権者が承諾)
- 子の氏の変更許可と入籍届(縁組をせず名字を変える場合)
- 健康保険の扶養の追加(5日以内、勤務先)
- 国民健康保険の資格喪失(14日以内)
- 転入・転居・世帯変更の届出(14日以内)
- マイナンバーカードの記載変更(自治体の案内に沿って)
- 児童扶養手当の資格喪失届・児童手当の届出
- 遺族年金の失権届(死別の場合)
- 学校・保育園・銀行などへの連絡
手続きを終えると、ようやく新しい家族の暮らしが始まります。これから再婚相手を探す段階の方は、シングルマザー・バツイチ子持ちの出会いと再婚のチャンスもあわせて読んでみてください。
子連れ再婚 手続きに関するよくある質問
Q. 婚姻届と養子縁組届は同じ日に出せる?
A. 連れ子養子は夫婦であることが前提なので、婚姻届が先になります。同じ日に続けて受け付けてもらえるかは、届け出る市区町村の窓口で事前に確認しておくと安心です。
Q. 養子縁組をしないと子どもの戸籍はどうなる?
A. 何も届け出なければ、子どもは今の戸籍に残り、名字も変わりません。親と同じ戸籍にしたい場合は、家庭裁判所の子の氏の変更許可を受けてから入籍届を出します。
Q. 元配偶者の同意がないと養子縁組できない?
A. 親権が自分だけにある場合は、親権者として子どもに代わって縁組を承諾できます(監護者を別に定めている場合などは、その人の同意が必要です)。2026年4月以降、共同親権を定めている15歳未満の子の場合は、父母が共同で承諾する必要があります。
Q. 再婚したら養育費はもらえなくなる?
A. 再婚しただけで養育費が自動的になくなるわけではありません。ただし、養子縁組などを理由に元配偶者から減額を求められ、話し合いや調停で変わることがあります。
Q. 籍を入れずに一緒に暮らすなら児童扶養手当は続く?
A. 児童扶養手当の「配偶者」には事実婚の相手も含まれるため、入籍しなくても支給されなくなることがあります。同居を始める前に、市区町村の窓口で確認しておくのがおすすめです。
Q. 子どもの名字はいつ変えるのがいい?
A. 決まりはなく、入籍と同時に変える家庭も、進学などの区切りを待つ家庭もあります。学校での呼ばれ方に関わるため、子どもの気持ちを聞いてから決めるのがおすすめです。
まとめ|子連れ再婚の手続きは「入籍前の方針決め」から始めると迷わない

子連れ再婚の手続きは、婚姻届だけでは子どもの戸籍・名字・親子関係が変わらない点が、初婚の結婚とのいちばんの違いです。入籍前に、養子縁組をするか、子どもの名字をどうするか、親権と養育費がどうなっているかを決めておけば、あとの届出はその方針に沿って進めるだけになります。
入籍後は、健康保険の扶養(5日以内)、住民票と国民健康保険(14日以内)、児童扶養手当の資格喪失届など、期限の短いものから順に済ませていきます。窓口や持ち物は市区町村で違うことがあるので、届け出る前に一度確認しておくと二度手間を防げます。
手続きは、新しい家族が法律の上でも暮らしの上でも形になっていく過程です。子どもの気持ちを置き去りにしないよう、一つずつ進めていけば大丈夫だと私たちは考えています。再婚全体の進め方はバツイチの再婚を成功させる準備と心構え、再婚相手の気持ちについてはバツイチの彼氏と幸せになるにはでも紹介しています。
再婚を前提にした出会いを、相談しながら進めたい方には結婚相談所という選択肢もあります。



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