50代の結婚は、いまや珍しいことではありません。人口動態統計では、婚姻の総数が減るなかで50代の初婚は増えていて、50代で結婚するなら、出会い方と同じくらい「お金・年金・相続・親の介護・住まい」を2人で先に話しておくことが大切です。
「この年齢で結婚を考えるのはおかしいかな」「結婚したら年金や財産はどうなるの?」と、気持ちと現実の両方で迷っている方も多いと思います。
この記事では、国の統計と日本年金機構・国税庁・民法の一次情報をもとに、50代の結婚の実態、初婚と再婚の違い、結婚するメリットと現実的な課題、出会い方をまとめました。初めて結婚する方にも、再婚を考えている方にも使える内容にしています。
50代で結婚する人はどのくらい?人口動態統計で見る実態

50代で結婚する人は、2024年に夫側で約1万6千人、妻側で約1万2千人いました。結婚全体が減るなか、50代の初婚はむしろ増えています。
2024年に50代で結婚した夫は約1万6千人
2024年に50代で結婚生活に入った人は、夫が15,748人、妻が11,860人でした。 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2026年版)」が人口動態統計をもとにまとめた数字から、編集部が50〜54歳と55〜59歳を足しています。
同じ年の婚姻は全体で485,092件です。50代の結婚は夫側で全体の約3%と少数ですが、毎年1万人以上が50代で新しい家庭を持っている計算になります。
婚姻が3割減るなかで増えた50代の初婚
2010年から2024年までに婚姻の総数は約3割減りましたが、50代の初婚は夫で約1.1倍、妻で約2.3倍に増えました。
| 50代の初婚 | 2010年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 夫 | 3,869人 | 4,269人 |
| 妻 | 1,028人 | 2,402人 |
とくに女性は、50代で初めて結婚する人が14年で2倍を超えました。「結婚するなら若いうち」という前提は、数字の上ではもう当てはまらなくなっていると感じます。
配偶者のいない50代は約444万人
2020年の国勢調査では、50代で配偶者のいない人(未婚・離別・死別)は男性約230万人、女性約214万人、合わせて約444万人でした。
50歳時の未婚割合も、2020年は男性28.25%、女性17.81%です。同年代で相手を探している人は、決して少なくありません。
50代の結婚は初婚と再婚で何が違う?

50代の結婚は、夫側の約7割、妻側の約8割が再婚です。初婚どうし、初婚と再婚、再婚どうしで、話しておくことが少しずつ変わります。
50代の結婚の多くは再婚
2024年に50代で結婚した人のうち、再婚は夫で約73%、妻で約80%でした。 50代の初婚の方が相手を探すと、相手が再婚というケースは自然に多くなります。
内閣府の調査でも、50〜60代で現在独身の人は、女性の約半数に離婚経験があり、男性の半数以上は結婚経験がないと示されています。男女で「独身になった経緯」が違うことも、この年代の特徴です。
初婚の50代に多い戸惑い
初めて結婚する50代は、長く続けてきた一人の生活リズムを、2人用に組み替えることが最初の課題になりやすいです。 家事の分担、休日の過ごし方、お金の管理など、自分のやり方が固まっている分、すり合わせに時間がかかります。
一方で、自分の暮らし方を知っているからこそ、譲れることと譲れないことをはっきり伝えられるのは強みです。
再婚の50代が話しておきたいこと
再婚の50代は、前の結婚の子ども・元の配偶者との関係・受け取っている遺族年金など、新しい結婚に引き継がれる事情を最初に共有しておくと安心です。 再婚に特有の注意点は、バツイチの再婚を成功させる方法でもまとめています。
50代で結婚するメリットは?これからの暮らしで変わること

50代で結婚するメリットは、残りの人生を一緒に過ごす人ができることと、老後の安心が増えることです。子育てを前提にしない分、2人の暮らしに目を向けやすい年代でもあります。
「好きな人と一緒に暮らしたい」が結婚したい理由の1位
内閣府の調査では、40〜69歳の独身者が結婚したい理由の1位は、男女とも「好きな人と一緒に生活したい」でした(男性49.0%、女性44.0%)。 男性は「精神的な安らぎの場がほしい」が23.4%で続きます。
条件より「一緒にいたい」が先に来るのは、この年代らしい答えだと感じます。
病気や老後に頼れる人がいる安心
配偶者がいると、入院や手術の付き添い、介護が必要になったときの相談など、法律上の家族として動いてもらえる場面が増えます。 一人暮らしの先行きへの不安から、結婚を考え始める方もいます。
子育てを前提にしない2人の時間
50代の結婚は、子育てや住宅ローンを前提にしない分、旅行や趣味など2人の時間を中心に暮らしを組み立てやすくなります。 独身40〜69歳が相手に求めることの上位は「価値観が近い」「一緒にいて落ち着ける」で、年収や容姿より相性を重く見る人が多い年代です。
50代の結婚でお金と年金はどう変わる?

50代の結婚では、毎月の生活費の分け方に加えて、年金の加算や遺族年金の扱いが変わります。ここでは制度の基本だけを押さえ、個別の金額は年金事務所で確かめるのがおすすめです。
生活費と貯金の分け方
50代の結婚では、お互いの収入・貯金・借入れ・老後の見込みを一度見せ合い、共通の生活費と自分のお金の線を決めておくと安心です。 長く一人で管理してきたお金を、すべて一緒にする必要はありません。
共通の口座に毎月決まった額を入れ、残りはそれぞれが管理する形にする夫婦もいます。
年の差がある夫婦の加給年金
厚生年金に20年以上入っていた人が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者がいると、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。 日本年金機構によると、令和8年4月からの額は配偶者分で年243,800円、特別加算を含めると最大で年423,700円です。
加算には届出が必要で、配偶者が20年以上の厚生年金による老齢厚生年金を受け取れるときは止まります。年の差がある夫婦ほど関係しやすい制度です。
遺族年金は事実婚でも対象
遺族厚生年金の「配偶者」には、婚姻届を出していない内縁(事実婚)の配偶者も含まれます。 金額は、亡くなった人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が基本です。
ただし、子のない夫が受け取れるのは55歳以上の場合に限られ、受け取り始めるのは60歳からです。
また、すでに遺族年金を受け取っている人が結婚すると(内縁を含む)、その遺族年金を受ける権利はなくなります。年金制度は令和7年の法律改正で一部が今後変わるため、入籍前に年金事務所で自分の場合を確認しておくと確実です。
50代で結婚すると相続はどうなる?

結婚すると、配偶者はいつでも相続人になります。一方で、事実婚の相手は相続人になれないため、籍を入れるかどうかで大きく変わるのが相続です。
配偶者はいつでも相続人
民法では、亡くなった人の配偶者は常に相続人になります。 一緒に相続人になる人と、法定相続分は次のとおりです。
| 一緒に相続人になる人 | 配偶者 | 相手側 |
|---|---|---|
| 子 | 2分の1 | 2分の1 |
| 親など(子がいない場合) | 3分の2 | 3分の1 |
| 兄弟姉妹(子も親もいない場合) | 4分の3 | 4分の1 |
初婚どうしで子どもがいない50代夫婦の場合、配偶者は相手の親や兄弟姉妹と遺産を分けることになります。家や預金をどう残したいか、遺言を書くかを2人で話しておくと、残された側が困りにくくなります。
事実婚の相手は相続人にならない
国税庁の案内のとおり、内縁関係の人は相続人に含まれません。 遺族年金は事実婚でも対象になる一方、財産を残すには遺言などの準備が必要です。
籍を入れない選択をする場合も、何を残したいかを決めて、公正証書遺言などで形にしておくのがおすすめです。
相続税がかかりにくい配偶者の軽減
配偶者が実際に取得した遺産は、1億6千万円か法定相続分相当額の多い方まで相続税がかかりません。 国税庁の「配偶者の税額の軽減」という制度で、申告が必要です。
前の結婚の子どもがいる場合は、その子も相続人になります。再婚の方は、遺言と家族への説明を早めに考えておくと安心です。
50代の結婚で親の介護と住まいはどう考える?

50代の結婚では、お互いの親の介護と、どちらの家に住むかが現実的な話題になります。法律上の義務と、2人の気持ちを分けて考えると話しやすくなります。
配偶者の親の介護は法律上の義務ではない
民法で扶養の義務があるのは直系血族と兄弟姉妹で、配偶者の親は原則として含まれません。 家庭裁判所が特別な事情があると判断したときだけ、三親等内の親族にも義務が生じることがあります。
それでも、実際には介護を手伝う場面は出てきます。どこまで関わるか、費用は誰の親のお金から出すかを、結婚前に話しておくと安心です。
介護した人が請求できる特別寄与料
相続人ではない親族が、亡くなった人を無償で介護して財産の維持に貢献した場合、相続人に「特別寄与料」を請求できます。 民法1050条の制度で、たとえば配偶者の親を長く介護した人が当てはまることがあります。
ただし請求には期限があり、相続の開始と相続人を知ってから6か月、または相続開始から1年を過ぎるとできなくなります。
住まいと配偶者居住権
持ち家に一緒に住んでいた配偶者は、相続のあとも「配偶者居住権」を取得すれば、家賃の負担なくその家に住み続けられます。 遺言や遺産分割で取得する権利で、法務省によると、取得していなくても最低6か月は無償で住める配偶者短期居住権もあります。
どちらかの持ち家に住むなら、相手が先に亡くなったときに住み続けられるかまで話しておくと、50代からの結婚でも安心して暮らせます。
50代で結婚相手と出会うには?出会い方の選択肢

50代で結婚相手を探すなら、結婚相談所・マッチングアプリ・交流会や趣味の場を、目的に合わせて組み合わせるのがおすすめです。
結婚を前提にするなら結婚相談所
結婚を前提に相手を探したい50代には、独身の確認や仲人のサポートがある結婚相談所が向いています。 国の出生動向基本調査では、妻が35歳以上で知り合った夫婦の約4割が、結婚相談所を含む見合い結婚でした。
年齢が上がるほど、紹介の仕組みを使う人が増えるのは自然な流れだと思います。相談所の選び方は、おとな縁結びで紹介しています。
年代を絞れるマッチングアプリ
マッチングアプリは、40歳以上や50歳以上に登録を絞ったものもあり、自分のペースで同年代を探せます。 公的な本人確認を必須にしているアプリを選び、会う前にお金の話が出たら連絡を止めることが大切です。
警察庁によると、令和7年のSNS型ロマンス詐欺の被害者は40〜60代が75.6%でした。選び方は50代のマッチングアプリの選び方も参考になります。
交流会や趣味の場での自然な出会い
同年代が集まる交流会や趣味の場は、まず友人として話せるので、恋愛のブランクが長い50代でも始めやすい出会い方です。 運営元のおとなじかんでは、40〜60代向けのワイン会や日本酒会を東京・大阪など6都市で開いています。
ほかの出会いの場は、50代の恋活・婚活におすすめの出会いの場で比べられます。
50代で結婚を考えたら、最初に何をする?

最初の一歩は、結婚に何を望むかを自分の言葉にすることです。入籍・事実婚・恋人のままなど、50代は選べる形が多い分、目的がはっきりすると相手探しも話し合いも進めやすくなります。
結婚に望むことの書き出し
「一緒に暮らしたい」「老後に頼れる人がほしい」「法律上の家族になりたい」など、結婚に望むことを3つほど書き出しておくと、入籍か事実婚かの判断もしやすくなります。 婚活の始め方は、アラフィフが結婚したいと思うきっかけと婚活の始め方も参考になります。
入籍前に2人で話す5つのこと
入籍前に、お金・年金・相続・親の介護・住まいの5つを一度話しておくと、結婚後の「聞いていなかった」を減らせます。 婚姻届には、2人の署名に加えて成年の証人2人以上の署名が必要です。証人をお願いする家族や友人に、結婚の報告をする機会にもなります。
50代の結婚が向いている人・急がなくていい人
誰かと日々の暮らしを分け合いたい人、法律上の家族として支え合いたい人には、50代の結婚が向いています。 一方で、一人の自由を何より大事にしたい人や、家族の同意がまだ得られていない人は、恋人や事実婚から始めて様子を見る選択もあります。
50代 結婚に関するよくある質問
Q. 50代で初めて結婚するのは遅いですか?
A. 遅くはありません。2024年には50代で初婚の夫が4,269人、妻が2,402人いて、妻の50代初婚は2010年の約2.3倍です。
Q. 50代で結婚すると年金は増えますか?
A. 条件によります。厚生年金に20年以上入っていた人が65歳になったときに65歳未満の配偶者がいると、加給年金が加算されます。自分の場合は年金事務所で確認するのが確実です。
Q. 事実婚と入籍では何が違いますか?
A. 遺族年金は事実婚の配偶者も対象になりますが、相続では内縁の相手は相続人になりません。財産を残したい場合は、遺言などの準備が必要です。
Q. 相手の親の介護はしなければいけませんか?
A. 民法上、配偶者の親を扶養する義務は原則としてありません。ただ、実際に手伝う場面はあるので、どこまで関わるかを結婚前に話しておくと安心です。
Q. 50代の結婚相手はどこで探すのがいいですか?
A. 結婚を前提にするなら結婚相談所、自分のペースで探すならマッチングアプリ、まず友人から始めたいなら交流会や趣味の場がおすすめです。目的に合わせて複数を組み合わせることもできます。
Q. 再婚の相手と結婚するときに気をつけることは?
A. 前の結婚の子どもは相続人になるため、遺言や家族への説明を早めに考えておくと安心です。相手が遺族年金を受け取っている場合は、結婚でその権利がなくなる点も確認しておくと安心です。
まとめ|50代の結婚は珍しくない。暮らしの話を先にすると後悔が減る

50代の結婚は、婚姻全体が減るなかで初婚も増えている、ごく自然な選択肢です。初婚の方も再婚の方も、気持ちと同じくらい暮らしの話を大切にすると、結婚後の安心につながります。
- 2024年に50代で結婚した夫は15,748人、妻は11,860人。妻の50代初婚は2010年の約2.3倍
- 年金は加給年金・遺族年金、相続は配偶者の法定相続分が結婚で変わる。事実婚の相手は相続人にならない
- 親の介護と住まいは、法律上の義務と2人の希望を分けて話す
まずは、結婚に何を望むかを書き出すことから始めてみませんか?結婚を前提に相手を探したい方は、結婚相談所の選び方から確かめておくと安心です。
まずは同年代と話してみたい方には、少人数の交流会もおすすめです。
出典(2026年10月確認)
- 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2026年版)」表6-1・6-3・6-5・6-22・6-23 https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2026.asp?chap=6
- 内閣府男女共同参画局「第2節 結婚と家族を取り巻く状況」(令和4年版男女共同参画白書) https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/honpen/b1_s00_02.html
- 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」報告書 第Ⅱ部 https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_Report04.pdf
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html
- 日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」 https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf
- 日本年金機構「遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/jukyu/20140421-19.html
- 国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
- 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
- e-Gov法令検索「民法」(739条・877条・1028条・1050条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 法務省「残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html
- 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」 https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/sagi_keihatsu2025.pdf



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