60代の独身は、決して少数派ではありません。2025年の国勢調査では、60代の約3人に1人、およそ458万人が配偶者のいない独身です。一人で困らないお金と住まいの備えをしつつ、人とのつながりを保っておけば、60代の独身は安心して楽しめます。
「この年で独身なのは自分だけでは」「入院したとき保証人がいない」「このまま一人で年をとるのが寂しい」。そんな不安を持つ方に向けて、この記事では、60代の独身の実情と男女の違い、年金と家計の目安、身元保証や住まいの備え、つながりのつくり方をまとめました。
60代の独身は珍しい?約3人に1人という今

60代の独身は、同じ世代のおよそ3人に1人にあたります。これから先、一人で暮らす高齢者はさらに増えると見込まれています。
60代の約30.5%が配偶者なし
2025年の国勢調査では、60代の約30.5%、およそ458万人が、未婚・死別・離別のいずれかで配偶者がいません。 男性は約30.5%、女性は約30.6%と、男女でほぼ同じ割合です。
総務省統計局の公表値(不詳補完値)から、編集部が60〜64歳と65〜69歳を合わせて計算しました。独身であることは、60代では特別なことではありません。
65歳以上の女性の4人に1人は一人暮らし
同じ国勢調査では、65歳以上の女性の25.3%、男性の19.0%が一人暮らしでした。 女性の一人暮らしはおよそ517万人にのぼります。
一人で暮らす高齢者はこれからも増える
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上で一人暮らしをする男性の割合は2020年の16.4%から2050年に26.1%へ、女性は23.6%から29.3%へ増える見込みです。 一人暮らしの高齢者に占める未婚の人の割合も、男女とも大きく上がると見られています。
一人で年を重ねる人が増えるからこそ、公的な支えのしくみも少しずつ広がっています。
60代の独身は男女で何が違う?未婚と死別・離別

60代の独身は、男女で中身が大きく違います。同じ「独身」でも、これまでの歩みによって、気になることも変わります。
| 60代 | 未婚 | 死別・離別 |
|---|---|---|
| 男性 | 約19.1% | 約11.4% |
| 女性 | 約10.3% | 約20.3% |
男性は一度も結婚していない人が多い
60代男性の独身のうち、多くは一度も結婚していない人で、60代男性全体の約19.1%にあたります。 家事や身の回りのことを長く一人でこなしてきた人もいます。
一方で、親を見送ったあとに頼れる家族が少なくなりやすい点は、早めに考えておきたいところです。男性の生涯独身については、生涯独身は男性の約3割でも詳しく紹介しています。
女性は死別・離別を経た人が多い
60代女性の約20.3%は、配偶者と死別したか離婚した経験を持つ独身です。 未婚の女性は約10.3%で、死別・離別の方が倍近く多くなっています。
子どもがいる人も多い一方で、子どもに頼りすぎたくないと考える人も少なくないと感じます。女性の一人の老後の備えは、生涯独身の女性は約5人に1人でもまとめています。
60代の独身が感じやすい不安は?よくある4つ

60代の独身が抱えやすい不安は、大きく4つに分けられます。それぞれに、今からできる備えがあります。
老後のお金が足りるか
年金だけで暮らせるのか、貯金がいつまで持つのかは、60代の独身の多くが気にする点です。 次の章で、年金と家計の目安を数字で見ていきます。
病気や入院のときに頼れる人がいるか
入院や施設に入るときの身元保証人や、もしものときの手続きを誰に頼むかは、一人暮らしの人にとって大きな不安です。 公的な考え方や制度を知っておくだけでも、気持ちが軽くなります。
住まいを借りられるか
年齢が上がると、賃貸住宅を借りにくくなるのではという心配もあります。 2025年10月からは、見守りなどがつく住宅の認定制度も始まっています。
孤独や寂しさ
定年や再雇用の終わりで職場の人づきあいが減ると、話し相手が急に少なくなることがあります。 人とのつながりは、意識して残しておくのがおすすめです。
60代独身のお金はどう備える?年金と家計の目安

60代の独身のお金は、年金の見込額と毎月の支出を並べてみると、備える額が見えてきます。
平均年金と一人暮らしの支出
令和6年度末の厚生年金の平均月額は、65歳以上の男性で173,033円、女性で114,797円です。 総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の単身で働いていない世帯の消費支出は月148,445円でした。
単純に比べると、男性は月約2.5万円の余裕、女性は月約3.4万円の不足になります。女性は1年で約40万円、20年で約800万円を、貯金などで補う計算です。
ただし、平均年金は厚生年金を受け取っている人の値で、国民年金だけの人はもっと少なくなります。家計調査の世帯主の平均年齢は77.8歳なので、60代の支出とは違う点にも注意が必要です。
長生きを前提に考える
令和7年簡易生命表では、65歳の女性はその後平均24.52年生きる見込みです。 女性の半数は90歳まで生きる計算になり、お金は長生きを前提に考えておくのが安心です。
働き方と年金の受け取り方
65歳までの雇用の確保は企業の義務で、70歳までの就業の確保も努力義務になっています。 働ける間は働き、年金を66歳以降に遅らせて受け取ると、年金額を一生増やせます。
自分の年金の見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。50歳以上のねんきん定期便には、70歳や75歳まで遅らせた場合の見込額も載っています。
60代独身の住まいと身元保証は?一人暮らしの備え

60代の独身が一人で暮らし続けるには、住まいともしものときの備えを、元気なうちに考えておくのが大切です。
身元保証人がいなくても入院は断れない
厚生労働省は、身元保証人がいないことだけを理由に、病院が入院を拒むのは適当でないと通知しています。 保証人がいないことを過度に心配する必要はありません。
終身サポートの事業者は契約内容を確かめる
身元保証や亡くなったあとの手続きを引き受ける民間のサービスについて、国は2024年6月にガイドラインをまとめました。 費用を入会金や預託金に分けて示すこと、預託金の管理方法、解約したときの返金、契約書を渡すことなどを、事業者が説明する大切な点に挙げています。
契約する前に、こうした点が書面で示されているかを確かめておくと安心です。
判断能力があるうちに任意後見を考える
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに、将来お金の管理などを任せる人と内容を、公正証書の契約で決めておく制度です。 頼れる家族が少ない人ほど、早めに知っておきたい制度です。
見守りつきの住宅と地域の相談窓口
2025年10月から、大家と居住支援法人などが連携して安否確認や見守りを行う「居住サポート住宅」の認定制度が始まりました。 介護や暮らしの相談は、市町村が設けている地域包括支援センターでも受け付けています。
財産のゆくえと遺言
配偶者も子もいない人の財産は、親や兄弟姉妹が相続人になることがあり、遺言がなければ、お世話になった友人や団体には残せません。 残したい相手がいる場合は、遺言の作り方を専門家に相談しておくと安心です。
60代の独身が今日からできる備えは?5つのチェック

ここまでの内容を、今日から始められる5つのチェックにまとめました。一度にすべてを済ませる必要はなく、できるところから少しずつ進めれば十分です。
1. 年金の見込額を確かめる
ねんきん定期便やねんきんネットで、65歳からの年金の見込額と、受け取りを遅らせた場合の額を確かめます。 毎月の支出と並べると、貯金で補う額が見えてきます。
2. 毎月の支出を書き出す
住まい・食費・通信費・保険など、毎月の支出を一度書き出しておくと、年金生活での暮らし方を考えやすくなります。
3. 緊急連絡先を決めておく
入院や事故のときに連絡してほしい人を2人ほど決め、財布やスマホに書いておくのがおすすめです。 家族だけでなく、信頼できる友人に頼んでおく人もいます。
4. 地域の相談窓口を調べておく
住んでいる地域の地域包括支援センターの場所を、元気なうちに調べておくと安心です。 全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)あり、介護や暮らしの相談を受け付けています。
5. 月に1回は人と会う予定を入れる
友人との食事や趣味の集まりなど、月に1回は誰かと会う予定を入れておくと、生活にリズムが生まれます。 予定を楽しみにすることが、一人暮らしの張り合いにもなります。
60代独身のつながりはどうつくる?友達・地域・趣味

60代の独身が安心して暮らすには、困ったときに声をかけ合える人を何人か持っておくのがおすすめです。
職場の外に友達をつくる
定年後も続く人間関係をつくるには、職場以外の友達を、働いているうちから少しずつ増やしておくのが安心です。 大人になってからの友達づくりの方法は、友活とは?40代50代からの大人の友達づくりで紹介しています。
地域や趣味の集まりに顔を出す
地域の講座やボランティア、趣味のサークルは、同じ地域の人と顔見知りになれる場です。 近所に知り合いがいると、一人暮らしの見守りにもつながります。
同年代が集まる交流会
年代を指定した交流会は、同じ世代の独身の人と、気軽に話せる場です。 おとなじかんでは、40代・50代・60代向けのワイン会や日本酒会、少人数のお食事会を、東京・大阪・神戸・名古屋・福岡・札幌で開いています。
会ごとに対象年齢や独身限定かどうかが違うため、参加条件を確かめてから申し込むと安心です。
60代の独身から恋愛や再婚をするなら?

60代の独身でも、恋愛や再婚をしている人はいます。結婚だけにこだわらず、関係のかたちを選べるのも、この年代ならではです。
結婚を望む60代男性は2割超
内閣府の調査では、結婚経験のない独身者で「結婚意思あり」と答えた60代男性は22.0%、60代女性は7.9%でした。 60代で「配偶者はいないが恋人はいる」人は、女性2.5%、男性1.9%です。
2024年に結婚した60代は約9,600人
人口統計資料集によると、2024年に結婚した60代は、夫が6,232人、妻が3,354人でした。 夫の約85%、妻の約88%が再婚で、死別や離別を経て新しい相手と結婚する人が中心です。
恋人・茶飲み友達・再婚から選ぶ
一緒に暮らさない恋人や、気軽に会える茶飲み友達、法律上の再婚など、関係のかたちは人それぞれです。 再婚すると、年金や相続の扱いが変わることもあるため、一緒に暮らす前に確かめておくと安心です。
50〜60代の恋愛のかたちについては、熟年恋愛のリアルで詳しく紹介しています。結婚を前提に相手を探したい方は、結婚相談所という選択肢もあります。
60代の独身に関するよくある質問
Q. 60代で独身の人はどのくらいいますか?
A. 2025年の国勢調査では、60代の約30.5%、およそ458万人が配偶者のいない独身です。男性は未婚の人が多く、女性は死別・離別の人が多いのが特徴です。
Q. 60代の独身女性は老後のお金が足りますか?
A. 平均的な厚生年金と一人暮らしの支出を比べると、女性は月に約3.4万円の不足になる計算です。ねんきん定期便で自分の見込額を確かめ、働き方や受け取り方を考えておくのがおすすめです。
Q. 身元保証人がいないと入院できませんか?
A. 厚生労働省は、身元保証人がいないことだけを理由に入院を拒むのは適当でないとしています。不安なときは、病院の相談窓口や地域包括支援センターに相談できます。
Q. 60代の独身から結婚することはできますか?
A. できます。2024年に結婚した60代は、夫が約6,200人、妻が約3,400人で、その多くは再婚でした。恋人や茶飲み友達など、結婚以外の関係のかたちを選ぶこともできます。
Q. 独身で子どもがいない場合、財産はどうなりますか?
A. 配偶者も子もいない場合、親や兄弟姉妹が相続人になることがあります。友人や団体に財産を残したいときは、遺言を作っておく必要があるため、専門家に相談しておくと安心です。
Q. 60代の独身で寂しいと感じたら何から始めればいいですか?
A. 地域の講座や趣味の集まり、同年代が集まる交流会など、気軽に顔を出せる場を一つ見つけるのがおすすめです。
まとめ|60代の独身は「一人で困らない備え」と「人とのつながり」の両方があれば安心

60代の独身は、同じ世代の約3人に1人です。年金と家計の見通し、身元保証や住まいの備えを元気なうちに進めておけば、一人の暮らしの不安はぐっと小さくなります。
そのうえで、友達や地域、同年代とのつながりを少しずつ増やしていけば、60代からの毎日はもっと楽しくなります。 まずは気軽に参加できる場を一つ、探してみませんか。



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